カワラケツメイとは?

カワラケツメイとは?

野辺地町とカワラケツメイ

カワラケツメイは本州・四国・九州の日当たりがよく乾燥気味の場所に生育する植物で、マメ科の一年草。一年草のため、1シーズンで花を咲かせ、種をつけて枯れた後はもう花を咲かせることはありません。10月頃の天気の良い日に、弾けて種子を弾き飛ばし、次の年に新しい株となります。草丈は30~60cm、茎はやや固く毛があります。花は8月~10月頃、葉の脇の小枝に4~5mmの黄色の小花をつけ、花の後にはミニサイズのサヤエンドウに似た実をつけます。

和名は「河原・決明」で、河原に生える「決明」という意味を持っています。「決明」とは、中国経由で渡来した、緩下・利尿などの薬効のある生薬として用いられる北アメリカ原産のエビスグサの漢名で、眼病に薬効があるとされ、眼病を治して「明」を切り開く(決)ことが名前の由来とされています。青森県野辺地町には、藩政時代に北前船で上方より伝えられたとされています。カワラケツメイは、漢方としてではなく、お茶として飲用されるのが一般的で、クセがなくとても飲みやすいことから、昔から飲み継がれてきた健康茶(かわらけつめい茶)です。

その昔、かわらけつめい茶から作った「茶粥」を、野辺地町の豪商の家々では「朝粥」として好んで食べられてきたと伝えられています。野辺地の街中を歩くと茶粥をすする音が聞こえた、と言われるほど、この町では親しまれてきたお茶です。

カワラケツメイの成分

昔から整腸作用・利尿作用があるといわれてきたかわらけつめい茶。
実際に2011年~2012年に実施された研究では、「カワラケツメイ(植物)」にはアルコール摂取に起因する肝障害の軽減や、肝臓への脂肪蓄積の抑制といった効果があることが確認されてきました。
さらに、今回、北陸大学薬学部・同大健康長寿総合研究グループの研究チームに協力していただき、カワラケツメイに「フラボノイド」成分が含まれていることがわかりました。

フラボノイドとは、ポリフェノールの一種で、有機化合物群の植物色素の総称です。さまざまな植物の葉、茎、幹などに含まれており、種類は4,000以上あります。最近では人の体の特定の生理調整機能に働きかけるので、機能性成分として注目されています。

カワラケツメイに含まれる成分「フラボノイド」とは

では、カワラケツメイに含まれているフラボノイドはどのような成分なのでしょうか? 研究チームによると、以下の2つが含まれていると報告されています。

  • ・F2(フラボノイド2)
  • ・F2a(フラボノイド2アグリコン)

植物由来のフラボノイドは、糖と結合した配糖体として植物の中に存在しています。これがF2(フラボノイド2)です。その成分が私たちの体内に入ると、糖が結合したままでは形が大きすぎて吸収されにくく、ほとんどが体内に摂り入れられることなく体外に排出されると言われています。そのため、効果的に摂取するためには体内に摂りこむ前に、酵素分解により体に吸収されやすいアグリコン(F2a)に変換する必要があります。(例えば、大豆のフラボノイド(イソフラボン)を摂取する際は、みそやしゅうゆなど麹の発酵食品がおすすめです)
しかし、カワラケツメイのフラボノイドは、腸の分解酵素(β-グルコシダーゼ)の働きにより、糖が分解され、F2aが生成されることが確認されています。このことによりカワラケツメイのフラボノイドだけは、そのまま摂取しても体内で吸収されることが期待できます。

フラボノイドの効果と骨粗鬆症

今回の研究では、野辺地町のカワラケツメイには、1kgあたり7.35mgのF2aが含まれていることが報告されています。
では、このF2aは、私たちの体内でどのような働きがあるのでしょうか?
研究チームは、マウスの実験により、F2の段階で、骨の細胞を増加させたり、強化させるという働きが確認されています。さらにF2aになることで、体内に吸収されやすく、骨粗鬆症や骨強化の低下の予防が期待できるとしています。
骨粗鬆症は、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気のとこです。日本には約1,000万人以上の患者さんがいると言われていて、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。高齢者だけではなく、若い人でも極端なダイエットや運動不足、ステロイド剤の服用、長年の生活習慣(喫煙、アルコール・カフェインの多飲、日照不足など)が原因となることから、生活習慣病との関連も重要と考えられている身近な病気です。 骨粗鬆症になっても、痛みがないのが普通で、骨がもろくなり、つぶれたり、割れるように骨折します。またつまずく程度の転倒などちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。気が付かないうちに骨折し、背中が曲がったり、背が縮んだり、腰痛になることもあり注意が必要です。

効率的に摂取するには

カワラケツメイのフラボノイドは、種子が成熟した状態のカワラケツメイにはほどんど含まれていません。そのため、10月の収穫時期よりも前の8月~9月の花と若い果実が見られる時期のカワラケツメイに限られます。
また、カワラケツメイに含まれているフラボノイドは水に溶けないため、水や熱湯で抽出することができません。生の状態でミキサーにかけスムージーにするか、乾燥したものを粉末加工して食品に混ぜるなどの工夫が必要です。
野辺地町では、この研究結果を元に、今後は新しいカワラケツメイの商品開発が加速していくと考えています。

北陸大学の研究結果はこちら